終章
本書は、ClayClay企業やパーソンについて外にある情報を集め、AIで判断し、文面を作り、MA・SFAに書き戻す、営業・マーケティング向けのデータ処理ツール。画面は表計算ソフトに似ており、1行が1社または1人、1列が1つの問いに対応する。米国のClay Labs社が提供する。用語集で見る →というツールの解説書の形を取っているが、伝えたかったことは1つである。
お客様を知るための調査を、人の手から外す。
営業もマーケティングも、相手を知らずに連絡することの無意味さは分かっている。分かっていても、対象の数に対して調べる時間がないために、全員に同じ文面を送ってきた。Clayは、その調査を代わりに行う。相手のWebサイトを読み、IR資料を読み、求人を読み、何が起きているかを一社ずつ組み立てる。人は、その結果を確かめ、自分の言葉に直し、相手に向き合うところから始められる。
これは、営業の仕事を減らす話ではない。営業が「なぜ今、この会社に」を持って相手に向き合える状態をつくる話である。調べる時間が面談と提案に使われ、経験の浅い担当者も経験のある担当者と同じ情報を持って話せる。売上の伸びが、個人の調査量と経験に左右される度合いが下がる。
既刊のNEXT CRM Playbookで、当社はAI時代のCRMCRMCustomer Relationship Management顧客との関係と取引履歴を管理する仕組み。GTMの4レイヤーでは、SFA・MAと並ぶ業務アプリケーション層に位置づけられる。用語集で見る →の形を述べた。MAMAマーケティングオートメーションマーケティングの実行と管理のための業務アプリケーション。用語集で見る →・SFASFAセールスフォースオートメーション営業の実行と管理のための業務アプリケーション。用語集で見る →に蓄積した接点接点タッチポイント顧客と自社の間で起きる相互作用のすべて。マーケティング接点・営業接点・カスタマーサクセス接点・パートナー接点があり、商談も接点の一つである。用語集で見る →の記録だけでは、Why You NowWhy You Now「なぜ貴社に(Why You)」「なぜ今(Why Now)」「なぜ私たちが(Why Us)」の3つの問いへの答え。データから導かれる接触の根拠であり、営業を動かすのはリードの数やスコアではなくこの理由である。用語集で見る →は語れない。コンテキストコンテキストその顧客が今どんな状況にあり、なぜそれを求めているのかを説明するための情報。業種や規模と違い一社ごと・一人ごとに異なり、シグナル・自社接点・購買グループを組み合わせて組み立てる。用語集で見る →が要り、それを集め続ける仕組みが要る。本書は、その仕組みを実際にどう組むかの一冊である。Clayで集めたコンテキストがMA・SFAに書き戻され、蓄積され続け、営業の行動の根拠になる。この状態を、当社はNEXT CRMと呼んでいる。
Clayは、今日の時点で最もよくできた手段の1つである。明日には別の手段が出てくる。しかし、「誰に、なぜ今、何を」を一社ずつ組み立て、人が動ける形で渡す、という仕組みの形は変わらない。本書がその形を組む助けになれば幸いである。

